みず かみ そう 卒業。 水島総

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みず かみ そう 卒業

地獄に落ちるよ、といわれた。 陸上部の水田くんは占いができた。 クラスでユーチューブチャンネルを持つことになった。 卒業式までにチャンネル登録者数1万人いこうな、と担任が始業式にいった。 各クラスやってて、学校の宣伝になるから登録者数が多いチャンネルのクラスの担任には特別手当が出るらしい。 それでまずはクラスメイトひとりひとりの特集をすることになったのだ。 地獄に落ちるなんて、水田くんは冗談でもいうタイプではなかった。 え、いつ? と俺は聞いた。 「いつ、どの未来に?」 「さあ、そこまでは」と水田くん。 センスばかりが冴え渡って、俺に地獄を直観したらしかった。 「なんかごめんね?」と水田くんはいう。 「そうだこれ、ホワイトデーだし。 どうもありがとう」 水田くんは俺にハリボーのクマのグミをひとつ渡した。 バレンタインの日に俺はクラスの全員にひとつずつハリボーのグミをあげていた。 水田くんはそっくり同じお返しをしてくれた。 グミの色までいっしょだ。 同じものを交換しただけ。 バレンタインもホワイトデーもなかったみたい、俺と水田くんのあいだはゼロで、空白みたいだった。 でも俺、あげたグミの色なんか覚えているし、水田くんのこと気になってる? それはどういう感じで? 自分でもよくわからなくて、結局、よくわからないまま高校を卒業しちゃったな、と10年後の同窓会で水田くんにいった。 こんなことをわざわざいうなんて、俺は水田くんのこと、いまも気にしてるんだなって思いながら。 「へぇー、ありがとう」水田くんはいった。 笑った。 それだけ。 俺のこと、あまり覚えてないみたいだった。 同窓会は居酒屋でだった。 水田くんはいま占いで生計を立てているらしく、年収を聞かれたり、同級生に頼まれて占ったりしている。 次々と、未来が与えられていく。 俺は、自分の未来とかはどんどん想像できなくなっていく。 この前、子どもが4歳になった。 俺の未来のことを考えると、俺じゃなく、子どもの成長の光景ばかりになっていく。 うれしかったし、でもそのうれしさは、自動的に発生している、俺個人とは関係のないものみたいで、悔しがってみたくなった。 遠くの席で、だれかが高校のときのユーチューブを再生した。 「肌が」「うわあみずはもまるみもかわらへんねえ」「肌がっ!」「あれ? こんなひとクラスにいた?」みんな10年前の姿によろこんでいる。 その動画で俺はカメラの外から、「いつ、どの未来に?」といっていた。 どの未来にって、なんでそんなことをいっているのだろう。 別の未来というものを知ってるみたいだった。 でもそう考えると納得できる。 いまの俺じゃなく、別の未来の俺が地獄に落ちている。 だから俺は無事。 平凡に疲れて、平凡にしあわせなことがあって生きている。 それか、ここがもう地獄か。 この何気ない日常が。 そう考えると案外悪くない気がするし、悪くないと思ってしまってる分だけ、最悪な気がする。 同窓会の喧騒のなかにいると、ぜんぶの情報がうまく聞こえなくなってきて、溶けてるみたいで、俺は、地獄のこともう忘れようと思った。 覚えてるということは、それだけで呪いみたいだから。 酒を飲んで、酒を飲んだ。 同窓会が終わっても、次の日も、しばらくずっと、何年も、飲まずにはいられなくて、離婚して、アルコールを摂取して、忘れることに変えていった。 プロフィール 大前粟生 おおまえ・あお 1992年、兵庫県生まれ。 京都府京都市在住。 2016年、「彼女をバスタブにいれて燃やす」が『GRANTA JAPAN with 早稲田文学』の公募プロジェクトにて最優秀賞に選出され小説家デビュー。 同年、「文鳥」でat home AWARDの大賞を受賞する。 2017年には、第2回ブックショートアワードで大賞に輝いた「ユキの異常な体質 または僕はどれほどお金がほしいか」が、塩出太志監督により短編映画化された。 著書に『のけものどもの』(惑星と口笛ブックス、2017年)、『回転草』(書肆侃侃房、2018年)、『私と鰐と妹の部屋』(書肆侃侃房、2019年)がある。 2020年3月14日に、新刊『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(河出書房新社、2020年)が刊行。

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みず かみ そう 卒業

「じどうしゃ ぶーぶーぶー」、「いぬ わんわんわんわん」、「みず じゃあじゃあじゃあ」、「かみ びりびりびり」、「そうじき ぶいーん ぶいーん ぶいーん」。 これから赤ちゃんが日常よく耳にし、使うことばを楽しい絵で描いています。 <作者紹介> 松井紀子(まついのりこ) 1934年和歌山県に生まれる。 絵本・紙芝居作家。 武蔵野美術大学卒業。 「ころころぽーん」(1976年ボローニャ世界児童図書展エルバ賞)、「かずのほん」、「とけいのほん」(共に福音館書店)、「あかちゃんのほん」、「ちっちゃなちっちゃなおばけ」(共に偕成社)など、知識の世界をはじめとする独自の絵本を数多く出版。 1991年から続けたベトナムの紙芝居創作・普及の支援活動に対しベトナム政府より「ベトナム文化功労賞」を受賞。 レビュー 一覧 nyanko さん 生まれてすぐに購入して読み聞かせをしていましたが、反応いまいちで(かじるだけ。。 )しばらく放置していましたが、1歳前〜大好きになり、1歳半の今では毎日持ってきます。 踏切が大好きなうちの子は、「ふみきり かんかんかんかん」で、キャハーっと喜びます。 「みず じゃあじゃあじゃあ」では、水道を指さしてニコニコします(笑)。 こどもって、知っているものが絵本に出てくると途端に絵本が大好きになるから不思議です。 赤ちゃんがガジガジ噛んでも丈夫な厚さ&角が丸いので、出産祝い本の一冊に入れて贈っています。 kokomama さん 娘が生後間もない頃、初めて買った一冊。 いろんな生活の音が書かれていてその音に似せて読んでみたところ、 本をじーっと見つめてにこにこ。 9か月になったいまでもぼろぼろになりつつも大活躍の一冊です。 trei さん 赤ちゃんに、解るのかなぁ?と半信半疑で絵本を見せて読んだところ、 赤ちゃんって「ぶーぶーぶーぶー」、「わんわんわん」などの音に興味を示すんですかね??なんだかとても喜んだので、絵本っていいなぁ〜と思いました。 赤ちゃんとのコミュニケーションにもなりますよね。

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瑞牆山

みず かみ そう 卒業

山梨大学教育学部附属中学校、開成高等学校卒業。 現在は東京大学医学部に在籍。 YouTuber。 私立暁星小学校、私立開成中学校・高等学校卒業。 東京大学経済学部卒。 現在は、東京大学農学部大学院所属。 一人っ子。 茨城県出身。 TBSのクイズ番組『東大王』では水上颯や鶴崎修功とともに東大王チームとしてレギュラー出演している。 鳥取大学附属中学校、鳥取県立鳥取西高等学校卒業し、現在は東京大学理学部数学科に在籍。 東京大学クイズ研究会に所属するほか、ウェブサイト「QuizKnock」のライターを務めている。 tbs.

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