クリエイティブ ディレクター 辻。 辻愛沙子 肩書きや年齢ではなく「辻」として見られたい (1/3):日経doors

落合陽一×辻 愛沙子(クリエイティブディレクター)「分断が起きがちな社会問題に、あえて『ポップ』を持ち込む理由」【前編】|ニフティニュース

クリエイティブ ディレクター 辻

店舗デザインや、スイーツ等の商品開発、そしてSNSでの拡散を生む企画設計など、 ブランドや企画の中で首尾一貫した全体設計・世界観作りを行う。 社会性のある事業作りと、アート性の強いコンテンツ作りの両軸で、 ナイトプール、飲食店、テーマパーク、コンビニ商品、アイドルなど、幅広い領域の企画を手がける。 この春、女性のエンパワメントや健康促進を目指す 「Ladyknows」プロジェクトを発足。 辻:はい、社名はラテン語で「箱舟」という意味の『arca(アルカ)』にしました。 辻:私は今年で24歳になるのですが、私たちの世代って、幼いときからずっと「この先日本は、世界は、本当に大丈夫なのか?」という不安を感じながら育ってきたと思います。 いわゆる失われた30年やソーシャルイシューというやつです。 そしてこの先も、決して楽観視することのできない未来がきっと待っている。 だからこそ私は、そんな荒れ狂う波の中でも「様々な人たちが多様性を保持したまま集い進める箱舟でありたい」という想いで、この新しく立ち上げた会社に「アルカ」という名前をつけました。 タピオカ専門店の「Tapista」をプロデュース。 「French Diner」をコンセプトに立て、類似ブランドが多いタピオカ業界で唯一無二な世界観を届ける。 一見、選挙とは対極に位置するようなタピオカブランドがメッセージを発信することで、SNS上で話題になり、最終的に3000人以上の方が選挙後、店舗に足を運ぶ結果となった。 辻:そうですね。 今までの代理店ビジネスって、クライアントの抱える問題に対して「それをどう解決していくか?」ということを考えるのが仕事で、決められたお題に対して最終的な解決方法を求められる構造が多かったと思います。 勿論例外はありますが。 それに対して、ブランディングコンサルというのは「パートナー」として、クライアントの長期的なご相談相手、共闘相手になることだと思っています。 特にこの領域は、私の得意な部分で貢献して行くことができると思っています。 例えばf0・ f1層といった若い女性向けの企画やアートディレクションであったり、ジェンダーなどのソーシャルイシューをユーモアに解決するアイディアやブランド作りなどの武器を持って、パートナー企業の未来に向かって長期的に取り組んでいきたい。 イメージでいうと、パートナー企業さんは漫画「キングダム」で言う所の「秦国」、「政」。 辻:業務内容の3つ目は、今までエードットが培ってきた資産をストックするプラットフォームをつくること。 その代表例が、私が今年立ち上げた女性の社会問題などに焦点をあてたメディア「Ladyknows」です。 <Ladyknows Fes 2019>「Ladyknows」は、女性のよりよい生き方、働き方を実現するためのプロジェクト。 記事の制作・配信や、イベントなどを定期的に開催し、今を生きる女性がより輝ける社会づくりに貢 献。 2019 年 10 月には、ポップアップイベント「Ladyknows Fes2019」をメインスポンサーで ある日本生命保険相互会社様を中心に様々な企業様に協賛いただき開催。 辻:Ladyknowsを例としてあげると、まず「Ladyknows」というメディアがある特定の色や思想を持つことで、そこで発信するメッセージや世界観に共感するフォロワーが付きます。 そして「Ladyknows」が発信力のあるプロジェクトとして成長すればするほど、協賛してくださる企業に対して還元できるものは大きくなっていきますし、イベントが終わったり、プロダクトが完成した後も、自分たちのプラットフォームにはきちんと資産として蓄積されていく構造です。 企業と生活者をクリエイティブや思想で繋ぐ。 そしてそのサイクルを回せば回すほど、全てのステイクホルダーにそれぞれのメリットがストックされていく。 これは従来のクライアントワークの構造とは、大きく異なる点ですね。 「Ladyknows」はあくまで1つのプラットフォームですが、アイディアやアクションを通じて、様々な企業の拡声器となり社会の代弁者となり、双方のハブとしての役割をになっていきたいと思っています。 辻:そうですね。 そして最後、4つ目の業務内容として、自社ブランドやサービス、プロダクトといったものをつくりたいと思っています。 実はすでにつくりたいと思ってるものもあるので…それらをひとつずつ形にしていけると思うと、今からとても楽しみです。 「何者でもない私」から「クリエイター辻愛沙子」へ。 そしてそれを超える強いチームを。 そんな中、私が唯一使えた武器は「若い」ということ。 そしてその「若さ」ゆえに見えている世界を具体的なアイディアに落とし込める事でした。 若さが武器というのは、体力的な部分はもちろん、「若者文脈を理解している」ということです。 例えば、ハウステンボスさんが展開していた2017年夏のお台場ウォーターパークのアートディレクションを任せていただいたことなどは、大きなきっかけになりました。 <お台場ウォーターパーク by ハウステンボス>「お台場ウォーターパーク」にて、SNS 映えするウォールアートや空間 室内のブース をデザイン。 1 ヶ月半の運営期間で、SN S 投稿が約 2 万件 にのぼり、その話題性から メディア記事に多数掲載された。 人気芸能人の個人アカウントに投稿されたり、「インスタ映え」での google 検索のトップに該当写真が上がってくるなど、広告費をかけずに 自動拡散されるコンテンツそのものを作る、現代に即した話題づくりの 方法を実現した。 -なるほど、それが辻さんの武器だったわけですね。 辻:武器である以前に、「若者文脈を理解した上で、最終的にクリエイティブに落とす」という一連の流れが、私にとってはシンプルにおもしろく、楽しく感じられたんです。 これまでの23年間で見てきた世界、熱狂したコンテンツ、考えてきた事が全て伏線となって、アイディアとなり具体的なアクションとなり仕事となり少しづつ伏線回収ができてきている。 そんな感覚が仕事にはあります。 そうやって自分が好きな世界観だったり、楽しいと思えるお仕事に全力で取り組み続けていった結果、「クリエイター辻愛沙子」として少しずつ認知されるようになっていったように思います。 辻:そうですね。 自分の色を出して仕事を続けたことで、「クリエイター辻愛沙子」宛てにお仕事を頼んでくださる方が少しずつ増えていきました。 会社に入る前は、デザインやプログラミングなど、具体的な武器のない自分をコンプレックスに感じていましたが、これまで自分が見て考え感じてきたものこそが自分の専門分野であり武器であると仕事を始めてから知る事ができました。 そして特にこの一年は、会社の中でそれぞれのスペシャリティを持つ人たちとチームで仕事をすることで、「私1人でものをつくる」から「チームでものをつくる」という感覚に、どんどん変わり広がっていく感覚があったように思います。 その感覚の蓄積の末、「クリエイター辻愛沙子」という個人を超える箱が必要だなと感じ、会社を立ち上げることに決めました。 辻:「クリエイター辻愛沙子」からもう1個上のレイヤーに行きたいな、って思ったんです。 やりたいことはどんどん出てくるけれど、私1人でできることなんて限られているから、やりたいことを全部実現するためには、「クリエイター辻愛沙子」をはるかに超えていけるようなチームをつくる必要があると思いました。 そして一見チーム戦と個人戦は相反するものとして捉えられがちだと思うのですが、最高のチームを作っていくためにはそれぞれの色や武器を磨き続ける事がとても重要なんです。 エッジの立った個人個人の集積によって最強のチームができていくというか。 そのために、私自身もっともっと先に進んで、まだ誰も見たことのない新しい世界をつくっていく必要があると日々思っています。 だから今は「とにかく外に出て、新しい世界を見たい!」という思いで全力疾走する日々ですね。 「変わり者」だって輝ける。 私が頑張ることが、誰かの証明になる。 辻:そうですね。 そもそもエードットって、会社自体の色が強いというよりは、個の色が強い人たちがたくさん集まっていて、それぞれが個性を出しながらも共闘しあっているんですよね。 出来ることと出来ないことの差が天地のように激しい凸凹な私が、居心地の良い中に留まらずガンガン外へ出て新しい世界に挑戦をすることで、「自分で立つという意思と覚悟さえあれば、自分のやりたいことに挑戦できる場所はある」という、強いメッセージになるのではないかと思っています。 例えば学校といった「社会」の中で、私はずっと「変わった存在」として見られる事が多かった。 エードットに出会うまで、どの組織や社会に行っても馴染めなかった。 でもそんな私が自分の足で立って前進していくことで、「変わり者」の人たちも輝ける場所がある、ということを証明していきたいんです。 辻:そう言っていただけると、とてもとても嬉しいです。 広告業界の中で新しい挑戦をどんどんしていくのがエードットの特徴だと思うんですけど、広告代理店という枠を超えて「エードット」という会社が社会に価値を提供し存在感を増して進化していくためにも、そのグループ会社である「arca アルカ 」が、エードットの独立遊軍として新しいものに挑戦していく「異端児」になっていきたいな、なんて思っています。 けれども社会の構造は今までの「普通」や「常識」を引き継いでそのまま進んでいる。 だから、そういう社会の中で私のような凸凹満載な存在が前進していくことで、「こういう生き方もあるんだ」という1つの指標になって誰かをエンパワメントできたら、それは私にとって何ものにも代えがたい喜びだと思います。 クリエイティブをビジネスに。 エードットの「独立遊軍」として進むその先には。 美しいものや面白いことは皆好きなのに、あくまで人生や社会や仕事のオプションだと思っている。 でも本来のクリエイティブって、側の演出だけではない「物事の本質」を見抜き捉える力が軸にあり、その上にそれをどう表現し伝えるかというクラフト、演出が乗っているものだと私は考えています。 だから次世代のクリエイティブカンパニーとして、わたしたちの具体的なアクションひとつひとつを通じて、クリエイティブが社会に提供できる変化や進化の価値を伝えていく必要があると思っています。 辻:そうですね。 クリエイティブの価値を上げていくためには、クリエイティブをクリエイティブにとどめることなく、ビジネスにしていくことが大切です。 「いいもの」をつくるのを大前提としながらも、社会にとってどのような経済合理性があるか?と言うことを考えながら、クリエイティブをちゃんと「ビジネスに落とす」ということを、会社としても個人としてもやっていく必要があります。 だからこそクリエイターにとどまらず、「経営についても学びたい」という思いから新しく会社をつくりました。 辻:そうですね。 アルカ、そして辻さんが目指す目標ってどんなものなのでしょう? 辻:「エードットでは生まれなかったサービスやプロダクトをつくっていく」というのがアルカでの野望です。 わかりやすく言うと「YouTubeってGoogleの子会社なんだ!」という。 さらにいうと「Googleってアルファベットの子会社なんだ!」って感じですかね(笑)エードットへの愛を掲げ、「アルカってエードットだったんだ!」といつか言ってもらえるように、エードットを超える会社を目指していきたいです。 そしてアルカがエードットに台頭していくプロセスの中で、私個人としても子会社の社長にとどまるのではなく、最終的にはエードットの経営にも関われる人材になっていきたい、と実は虎視眈々と思っています。 私がエードットに感じる信頼や愛は、何よりも「変化し続ける」ところにあります。 朝と夜でどんな成長があったか、変化や学びがあったか、を日々自問している自分にとって、この環境は何よりの舞台。 目標は25!なのであと2年ですね。 辻さんなら、実現できてしまいそうですね。 辻:ありがとうございます。 頑張ります。 エードットで役員を目指すか、アルカで上場して鐘をつくか。 今年3月、エードットが上場する時に、鐘をついてたのがほぼ男性だったのが、自分としては正直ショックだったんですよね。 もちろんそこには性差別の意識があるわけではなく、実情をフラットに判断した結果そうなっただけなのですが。 だからこそ、私が新しい風を吹かせる「独立遊軍」になれるよう頑張っていきたいなと思っています。 エードットにとっても、これからの社会にとっても。 そしてこの先も、ずっと、応援してますね!.

次の

辻愛沙子 肩書きや年齢ではなく「辻」として見られたい (1/3):日経doors

クリエイティブ ディレクター 辻

こんばんは。 COL-ORs生徒会会長の栞Shioriです! 今回もInspire Highさんのライブ配信をまとめました。 おしゃれな空間で健康診断が出来るようなイベントをおこなう。 場所は結婚式場を使用。 白黒つけすぎない。 同じ目標を持っているけど途中のプロセスは違う。 分かり合えないことはある。 どっちも否定できるものではない。 難しい問題を知る入口のハードルを下げるのがクリエイティビティ History 幼稚園から同じ一貫校 東京出身 自分の知ってる世界が狭い(学校と塾しかない)と気づく。 13 才の時にイギリスへ一人で留学。 この時好きな物(偏愛)に出会った イギリス・スイス・アメリカの学校に通う。 特徴のある会社を作ろうと思った。 2.影響された本: 書籍名「差別はいけない」とみんな言うけれど 3.違う考えの人と融合するにはどうしたらよいか?: 決めつけない。 たとえばピンク色がすきでも音楽はロックが好きな場合もある。 4.言ったことのある国、興味を持っている国: 色んな所に行ったことがある。 今は特にアートが布教されている東ベルリンに行きたい。 5.慶應義塾大学 SFC にはなんで入った?: デジタルアートがやりたくて入った。 6.目標: 世界平和 7.一番影響受けた人: Mさん(社会人になった時の初めての上司) 8.最近好きになった広告: フィアレスガールの広告 * フィアレスガールとは 「国際女性デー」にあわせてニューヨークのウォールストリートに設置された像 9.インターンではどんなことをしたか?: ゲーム会社さんの外装デザイン 10.SDGsに興味は? ある!世界問題に関連しているものには興味がある。 社会に貢献できる事でお金を稼いでいきたい。 *SDGs とは 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。 2015 年 9 月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟 193 か国が 2016 年から 2030 年の 15年間で達成するために掲げた目標。 17 の大きな目標と、それらを達成するための具体的な 169 のターゲットで構成されている。 COL-ORs生徒会会長 栞Shiori.

次の

クリエイティブディレクターという仕事。そして、この国に足りなかったもの。|カラスの社長の個人的なnote|note

クリエイティブ ディレクター 辻

辻愛沙子 つじ・あさこ 社会派クリエイティブを掲げ、「思想と社会性のある事業作り」と「世界観にこだわる作品作り」の二つを軸として、広告から商品プロデュースまで領域を問わず手がける越境クリエイター。 リアルイベント、商品企画、ブランドプロデュースまで、幅広いジャンルで手がける。 2019年春、女性のエンパワメントやヘルスケアをテーマとした「Ladyknows」プロジェクトを発足。 2019年秋より報道番組「 news zero」 で水曜パートナーとしてレギュラー出演している。 』(綿野恵太、平凡社) 本当に好きすぎて、5冊買って人に配りました。 差別を批判する論理が「アイデンティティ」(被差別者の当事者が批判)から「シティズンシップ」(非当事者を含めたみんなが批判)に変わったことを論じた本です。 私は女性が抱える社会課題を発信するプロジェクト「Ladyknows(レディーノーズ)」をやっています。 上場企業役員の女性の割合の低さなどをファクトベースでメディアで伝えたり、トークイベントを開催したりなど、ジェンダーにまつわる情報発信を行っています。 また、若い女性の健康診断の未受診率が高いことが課題だと感じて、ワンコインで健康診断が受けられるポップアップイベントを開催しました。 この本では「足を踏んだ者には、踏まれた者の痛みがわからない」(差別された痛みは当事者にしかわからない)という言葉が出てきますが、私がジェンダーの話をするのは、自分を含めた「足を踏みつけられている人たち」のためです。 意図して偏見をぶつけるケースも大いにありますが、社会全体に蔓延っている「無自覚な加害」にも大きな問題があると考えています。 仕事で女性と男性が並んだ時に、無意識に男性の方が上司だと思ってしまう。 そういう「無自覚な偏見」は日常のあらゆる所にあふれかえっているんです。 課題が大きく複雑だからこそ、様々な企業や活動家の方と一緒にプロジェクトを進めていく中で感じる難しさはひとつふたつではありません。 特に、同じ目的や思いを持って差別や偏見に立ち向かっている人も、一人一人違う背景や考えを持っているという事実。 そのことで生まれる衝突には本当に頭を悩ませながら、その都度学びを重ねている日々です。 「社会を変えていこう」と思う人たちの間でもそれぞれ考えの方向性や思いに違いがある。 そしてそのどちらも正しい。 そんなことが結構起こるんです。 本来向き合っていくべきは共通の大きな課題なのに、その二つがバトって前に進まないのは本末転倒であると思う。 じゃどうしたらいいんだろう。 モヤっとしてよくわからなくなった時に、この本に出会い、思考と構造が一気にクリアになって救われたんです。 差別批判の論理が「アイデンティティ」だけでなく「シティズンシップ」という形で広がりを見せているというのは、フェミニズムの歴史を紐解いても明白でした。 まず権利のない当事者の女性たちが抗議をして社会を変えてきたフェーズがあった。 国際女性デーの起源とも言われている、1904年の女性の参政権を巡ったニューヨークのデモもその一つです。 今もその戦いは続いているけれど、バックラッシュがありながらも少しずつ前に進んでいる。 一方で、当事者じゃない人たちも「自分も、あなたも、等しく人権がある生き方を」と声をあげるフェーズに移っている。 そのように考えてみると、簡単な線引きではわからない、反差別の側の複雑さが見えてきます。 よく広告の世界だと女性向けの企画を「女性ならではの視点で作ってください」と言われることも少なくない。 でも当然女性にも色々な考え方があって、複雑さをはらんでいる。 年が近かったとしても、全然違う価値観を持っていることも多い。 仕事に関しても、パートナーに関しても、結婚や趣味に関しても。 そうしたことに対して、クリエイターやインフルエンサーはできるだけ敏感であるべきだと思っています。 仕事でモヤっとした時は「この悩みはどこからきているんだろう」と思って、その都度この本に立ち返ります。 主人公の「田村カフカ」と司書の「大島さん」が働く図書館でのシーンです。 突然女性2人がやってきます。 彼女たちは女性の立場から、文化公共施設の実地調査をしているという。 「大島さん」に対して「パブリックに開放された図書館であれば、原則として、洗面所は男女別にされるべきではないでしょうか」「男女兼用の洗面所は様々な種類のハラスメントにつながります」などと指摘するんですね。 彼女たちが言っていることは正しくて「確かにわかるな」と思いながら読んでいく。 ただ「大島さん」とあまりに会話が行き違うので、自分たちが絶対正義だと思っている2人はイラついて「あなたは典型的な差別主体としての男性的男性」だと批判します。 でも実は「大島さん」は「身体の仕組み」は「女性」だけれど、「意識」が「男性」であるジェンダーの方なんです。 彼女たちはその外見から「男性」だと決めつけていた。 そこで「大島さん」はIDカードを見せながら「僕は生物学的に言っても、戸籍から言っても、紛れもない女性です」「典型的な差別主体としての男性的男性ではありえない」と言い返すシーンがあります。 これを読んで「無自覚な差別」はこうやって生まれるなと思いました。 いかに人はわかりやすいもので人をジャッジするか。 そういうラベリングの話をしている。 私も「女子大生」「若い女の子」など常にいろいろなラベリングをされます。 でもその裏には「若い女の子」は「かわいいものばかり求めて頭が悪い」といったステレオタイプがものすごくあるように感じます。 このシーンではそういう「無自覚な偏見」やジェンダーバイアスが顕著に描かれている。 すべての仕事がそうかもしれませんが、特にものづくりの仕事は社会に対して届けています。 だからコピーやステートメントを書く時、表現が「無自覚な加害」になっていないか、何重も何重も確認するんですよ。 言葉にすると、しごく当たり前なことなのですが。 そうしたことにものすごくストイックに向き合わないといけないなと思い出させてくれる本です。 いろいろな女性の人生が描かれています。 最初のショートストーリー「How old are you? (あなたいくつ?)」は本当に最高で、「あたしって本当はパンクな女の子だったんだよ」から始まります。 大人になるにつれて保守的なファッションになった女性が、自分がパンクだった若い頃のファッションを思い返す。 「あたしはもっと、パンチのある服が着たい! みんなが眉をひそめるような、思いっきり反抗的な服が着たい! 人をザワつかせるような、とんでもない服が着たい!」。 そういうみんなが言葉には出さないけれど、心のうちに秘めているような思いが描かれています。 押さえつけてくる社会と解放される自分。 それを女性の視点で顕著にわかりやすく描いている。 仕事をしていると時々「ウワー!」ってなる時があるじゃないですか。 先ほどのプレゼンの話みたいに、別に私を馬鹿にしようと思っているわけじゃないけれど「無自覚な加害」になっていることがある。 「こういうことあるなー」と思うストーリーばかりで、いつも終わり方も爽快なんですよ。 タイトルもよくて「あたしたちよくやってる」。 しょんぼりしている時に読んで、「シャー!」と勇気をもらう本です。 私が漫画家な訳でもないのに、初めて読んだ時にめちゃくちゃ嫉妬しました。 ただ男子高校生2人が放課後に、河川敷で漫才みたいなやりとりをしているだけなんですよ。 まずそれがめっちゃ面白くて爆笑です。 でも途中までゆるい日常が続くのに、最後に大オチがある。 その描き方がすごく美しくて大好きです。 実は伏線が途中にたくさんあったこともわかる。 2人には色々な背景があって、裏に複雑な社会問題があった。 日常のくだらないストーリーに主軸があるけれど、その延長線上に複雑な問題がある。 紙一重で全部がつながっているのが人間だし、日常の瞬間と大きな問題って地続きなんだなと考えさせられます。 特に表現の仕事は、人に対する想像力を持つことがすごく大事です。 宇垣美里アナウンサーの「人それぞれに地獄がある」という言葉が超好きなんですけど、表には見えなくても、人には人の喜びや地獄がある。 それを想像しないで「このクラスタはこうだ」と決めつけてはいけないと思います。 ひとくくりにせず、人にものを届けるために 全部の本に通ずるのは「一言でくくってはいけない」ことだと思いました。 人にものを届ける仕事として、めちゃくちゃ大事にしていかないといけないと思います。 企画の仕事で大事だと言われる言葉に「ナタで切って、カミソリで仕上げる」というものがあります。 たとえば彫刻ではまず石をざっくり大きく切る。 その後に目や鼻など細かい所を掘っていく。 多くの人に届ける企画を作るには、まずざっくりナタで切るのがとても大事です。 そして最終的なアウトプット表現をカミソリで仕上げていく。 差別や人権について、自分が想像力が足りていない所はないか。 無自覚なバイアスがかかっていないか。 常に細かい点まで見ていかないといけません。 そういう意味でも、仕事のTips(コツ)系の本というより、どちらかというと人間らしい4冊になりました。

次の