タークス シスネ。 ザックス・フェア

シスネ (しすね)とは【ピクシブ百科事典】

タークス シスネ

唐突にレーダーの警告音が鳴りひびき、シスネは目を見開いた。 クラウドの怪訝そうな顔を横目にあせって小さな画面を確認する。 だがそこにはなにも表示されていない。 しかしこの警告音は間違いない。 近くにいる。 「どうした?」 「ウェポンが来る。 すぐにここから離れないと」 走り出しながら携帯電話のボタンを押すと通話はすぐに繋がった。 「ツォン?ウェポンが狙ってきてる。 今ゴンガガエリアなの、近くに誰かいる?」 聞こえてくるのはいつも通りの冷静な声。 「すぐにヘリでレノとルードを向かわせる。 そのエリアはウェポン襲撃のない安全地域とされていたはずだが…。 なりふり構わなくなってきたか。 民間人を巻き込みそうか?」 「巻き込まないところまで逃げる」 「なんとかしのげ。 遭遇するのは何度目だ」 「3度。 個人攻撃ははじめてよ」 「おまえは運がいいな。 レノなんか2ケタ襲撃されてる」 「遠くからでもよく見えるのよ、あの真っ赤な髪」 「ルードといると反射して余計目立つんだ」 「ツォンが冗談いうのはじめて聞いたわ」 「はじめてついでに今日は倒せるかもしれんぞ。 …死ぬなよ」 「了解」 通話を終えたところで腕を引かれた。 バイクに乗ったクラウドだ。 「クラウド逃げて。 私から離れて」 「ウェポンが来るんだろう。 走って逃げても追いつかれるぞ」 「狙いは私。 タークスなの。 あなたを巻きこめないわ」 「そんな控え目なことを云うタークスなんてはじめてだな」 彼は真顔でそう云って、焦るシスネを強引にバイクの後ろに乗せる。 え、と思う間もなくそれは発進されて、振り落とされそうになったシスネは必死に運転手にすがりついた。 ちゃんと掴まってろと云った彼からゴーグルが渡される。 バイクはものすごいスピードで村を離れ荒野を駆け抜ける。 「ちょっと待って、クラウド!」 「黙ってろ。 舌噛むぞ」 「でも!」 「ウェポンの詳細」 こちらの意見を聞く気はないらしい。 舌噛むぞと云いながら説明を求めてくる彼の風になびく金髪のはるか向こう、上空にちいさな黒い影が確認できる。 シスネもそれ以上文句を云うのはやめた。 「ジェイドウェポン。 もう3年もタークスを狙ってるの」 「名はいい。 事情も後で聞く。 攻略法は?」 「通常攻撃は跳ね返される。 効果があるのは最上級攻撃魔法と召喚獣とリミット技」 「敵の攻撃」 「落雷と爆撃。 本体の他にもクラスターっていうモンスターが何体か」 「なんで3年も倒せないんだ」 「HPが莫大。 ある程度ダメージを与えると逃げられて、回復したらまた現れるの」 「ライフストリームの無駄遣いだな」 忌々しそうに云った彼は村から充分に距離のある荒野のど真ん中でバイクをとめ、ゴーグルをはずした。 ウェポンは星が生み出した存在だと知っている。 戦闘機のような形をした巨大なタークスの敵は、狂いなくこちらに狙いを定めていた。 「クラウド、マテリアは」 「どっちも原材料はライフストリームなのに、攻撃しあえるなんてヘンな話だ」 「天然物と神羅産の違いかしら。 持ってないのね。 悪いけどこうなったら巻き込まれてもらうわよ」 シスネが差し出したそれをクラウドは断った。 彼はバイクからいくつか剣を取り出しながら云う。 「本体以外はまかせる」 「だから剣だとリミットしか」 「気を抜くなよ」 「クラウド!」 間近に迫った強大な敵へ、なんのためらいもなく彼は飛んだ。 それは、ほんの一瞬の出来事だった。 ウェポンがクラスターを放つ間も与えず、巨大な敵に飛び乗った彼は合体剣を2本取り外し、その強固な体に突き刺した。 攻撃された敵は怒り、クラウドを振り落とそうと暴れながら上空へと飛翔する。 刺した剣につかまり難なく体勢を整える彼のその細くしなやかな身体が、敵を蹴り上げ高く宙を舞った。 見上げるシスネの目に映ったのは、一筋の金の光。 晴れ渡る空の下、ものすごいスピードで向かってくる敵へ身の丈ほどもある剣を振りおろした彼の、その金の髪が陽に美しく輝いていた。 光が、ウェポンを通り抜けた。 それだけだった。 気がつくと3年もの間タークスをいたぶってきた星の兵器は、すべての力を失い地響きをたて荒野に落下していた。 「………」 呆然として言葉が出ないシスネに地上に着地した彼はこっちに来るなと手で示す。 背中に剣をしまいながら、たった今ふたつに分断したウェポンを眺めるその顔は涼しげで、呼吸ひとつ乱していない。 確かに見たはずの光景が、目の前に落ちているウェポンが、信じられなかった。 何年も苦戦し幾人ものタークスが重傷を負わされた。 それをたったひとりの男が。 それも一撃で。 数年前ザックスが必死に守っていた彼が、さっきまで膝を抱えて泣いていた彼が。 電話が鳴った。 クラウドから目を離せないまま、通話ボタンを押した。 「状況は」 ツォンの声だ。 「シスネ?どうした」 「…た、…おしました」 「倒した?!」 「…クラウドが」 「クラウドがそこにいるのか?」 「こういうの…なんていうのかしら…あ、一刀両断…」 「一刀…一撃で?!」 「まっぷたつ……」 電話の向こうの男が声を失っている。 しばらくの後、にわかに信じがたいのだろう彼はとりあえず現場を写して送れと云ってきた。 向かっているレノとルードに事情を説明しろというのになんとか返事をして通話を終えた。 目の前でふたつに切り裂かれた星の兵器はゆっくりと原形を失くしていく。 それは星へ還るライフストリームとなって、立ち尽くすクラウドを覆っていく。 「クラウド」 「来るな。 危険だ」 「それはあなたもでしょ」 「…ああ、俺が一番ダメかもしれないな」 自嘲するような口調の彼はそれでもそこから動かない。 命の流れを見送るその表情は自分も連れて行ってほしいといいたげで、見ている方が切なくなった。 もう一度名を呼ぶと、彼はシスネの顔をみて苦笑し、ようやくこちらに歩きだす。 「逃げられるんならその前に、動けないようにすればいい」 「そ、んな簡単に…」 「飛び道具でちんたらやってるからだ。 俺はごめんだな、あんなの見てるだけで酔うし」 「…酔いそうだから一撃で倒したの?」 「筋金入りだから」 けろりと云われて軽くめまいがした。 「で、どうしてタークスが狙われてるんだ」 「ジルコニアエイドを倒したの。 そしたらタークス全員が星に敵だとみなされて」 「?なに」 「すべての命を滅ぼし星に還そうとする召喚獣、よ」 「今のヤツそんな個人識別できる脳ミソあったんだ。 …似たような話を最近も聞いたぞ。 これはいつの話だ。 3年前っていうと、メテオの前後か?」 「数か月前」 「常に滅亡の危機だなこの星の生物は」 彼は無表情に吐き捨てた。 「星にとって俺たちは、ただのエサだ。 こっちの意志なんか関係ない、生かすも殺すも星の気まぐれなんだ」 「…クラウド」 「…こんなこと云ってるとあいつみたいになるな」 彼の云うあいつとは、すでに名を出すことも禁忌とされるかつての英雄のことだ。 ああヤなやつを思い出した、とつぶやいた彼はバイクを操作し剣をしまう。 「次の狙いは俺かな」 「…わからないわ」 「気まぐれだからな」 かすかにヘリの音が聞こえた。 タークスの名物コンビが乗るそれが上空に見えてくる。 クラウドはバイクに跨りゴーグルを取りだした。 すぐにでも行ってしまいそうであわてて呼びとめる。 「ありがとう。 助けてくれて」 「勝手に倒しただけだ」 「命の恩人よ。 タークス全員の」 「レノだったら放っといたな」 「私だから助けてくれた?」 シスネの言葉に彼は複雑そうな顔をする。 その顔は戦っている時とは全然違う。 普段の彼は表情もしぐさも幼い。 「…また会えるかな」 しばらくの沈黙ののちの言葉は意外なものだった。 すこし笑ってしまう。 「次は泣かないでね」 「…たぶん」 バツが悪いのかそっぽを向くその様子がかわいい。 シスネ、とはじめて名を呼ばれちょっと驚く。 ザックスの母が呼んだのを覚えてくれたのだろう。 「ありがとう。 …ザックスのこと、あのとき、逃げてるとき、味方してくれて。 あいつうれしかったと思う」 「…私を泣かせないで」 「…今度、ザックスのこと話してくれる?」 子どもみたいな顔だった。 シスネはこらえきれずに吹き出してしまった。 クラウドはあきらかに拗ねた顔をする。 ほんとにかわいい、と思ってしまう。 「よろこんで」 シスネが笑顔で答えると、彼は視線をそらしたまま、それでもかすかに微笑んだ。 荒野を疾走するバイクを見送って、シスネは再度通話ボタンを押した。 送信した写真を見たツォンは脱帽していた、というかもう呆れ半分だ。 「ツォン。 クラウドの…彼の力は強大すぎる。 不安なの、うまくいえないけど」 「…第二のセフィロスになるかもしれない?」 「それは…」 ただのエサだと云い捨てた彼の言葉を思い出す。 だが彼はシスネを助けてくれた。 亡くした友人を想い涙を流していた。 「それはないわ。 彼は、やさしい人よ」 「だがひどく不安定で脆い。 前例もあるし、簡単に操られるかもしれない」 「…誰に」 「彼は例の実験でS細胞を移植されている。 それがどんなものなのか詳細はわからないが、…セフィロスの、細胞かもしれない」 「彼の身体はセフィロスとおなじだっていうの」 「確証はない。 だが」 「監視の必要はある、って?」 「今は仲間も家族もいてずいぶん落ち着いている。 時々、レノとルードがご機嫌伺いに行く程度だ」 「機嫌を損ねに行ってるの間違いでしょう。 彼は知ってるの」 「気づいてる」 「S細胞のことよ」 「それはわからない。 ソルジャーとおなじジェノバ細胞だと思っているようだが、別に間違いじゃない」 「セフィロスは…消滅したのよね」 「…わからない。 …クラウドは、心強い味方にも、最大の脅威にもなりうる」 着陸態勢に入ったヘリの風圧に髪が乱される。 もしいつか彼がかつての英雄のように狂ってしまう日が来たら。 ザックスが命をかけて守った彼と殺し合うことになるのか。 「脅威になんて、ならない」 …そんなことはさせない。 彼を見守ろう。 ザックスのかわりに。 あの時のような後悔は、もう二度としない。 彼の命はザックスの命だ。 もう二度と、あんなふうに喪わない。 監視などとわざと言葉悪く云っているが、ツォンもほかのタークスも、きっとおなじ気持ちなのだろう。 そう思った。

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不思議と惹きつけられるタークスメンバー達

タークス シスネ

「よぉザックス」 「カンセル。 こんなところで何してんだ」 「実はちょっと話しておこうと思うことがあってな」 「話?なんだよ」 「タークスにシスネっているだろ、あいつの事なんだけど…もしかしてもう知ってる?」 「いや、知らねーけど。 シスネがどうかしたのか?」 「あいつ、多分ザックスに惚れてるぜ」 「はぁ!?」 「知ってたか?あいつこっそりお前のファンクラブ入ってるの」 「え、まじか」 「まじまじ。 それにオフの日結構ナンパされてる目撃情報あるけど全部蹴ってるらしいぜ」 「まぁ美人ちゃ美人だしな」 「良い男の一人や二人居てもいい歳の女が寄って来る男全員蹴っている。 その上お前のファンクラブだけ入ってるんだぜ」 「…それって惚れてる確証無いじゃんかよ」 「まぁまぁ。 可能性としては無くもないだろ。 ま、優しくしてやれよ。 じゃあな」 うーん、確かに演劇誘われたり休暇中追っかけてきたりするけど…だからってまさかな 「ザックス」 「おわっ!シスネ!」 「誰かと喋ってなかった?」 「い、いや、別に。 今来たところ?」 「そうよ」 「ふ、ふーん」 「ところで、今日もエアリスに会いに行くのかしら?」 「いや、今日はもう遅いし、あいつも帰ってるだろ」 「そう…。 なら、よかったらこの後、食事でもどう?」 「あ…うん、いいぜ」 「そう、よかった。 私、着替えてくるね。 ビルの前で待っててくれる?」 タークスの連中と飯かよ…殺伐としてそうでちょっと嫌だな 「おまたせ」 「おわっ」 「…どうかした?」 「いや、シスネの私服姿見たの初めてだし。 びっくりした やばい結構可愛いぞ 」 「水着はもう見てるのにね。 ふふ」 「なんか順番変だな。 はは」 「じゃ、行きましょ。 良いお店知ってるの」 「あれ?他の連中は?」 「何言ってるの。 私一人よ」 「あ、ああ、そうだったのか」 「ほら、早くしないとのんびり食べれないわ」 ぐいっ 腕組まれた…エアリスとも組んだ事ないのに…はぁ 「いらっしゃいませ」 「マスター、今日は二人ね」 「あいよ」 「 バーかよ。 ファミレスかと思った …よく来る店なのか?」 「うん。 よく一人で気晴らしに来たりね」 「ふーん」 「姉ちゃん、中々男前なの連れてきたな。 彼氏か?」 「ま、そんなところかしら?」 「おい」 「いいじゃない。 冗談って事にしておいて?」 「え。 しておいて、って…?」 「マスター、いつものやつもらえる?」• 2019-04-16• by バレンシアガ シティ スーパーコピー 時計• 2018-10-29• by 偽物ブランド時計• 2018-10-10• by 名無し ID:tidO4mGGqA• 2018-09-02• by d4dp6dk523• 2018-08-29• by スーパーコピーブランドバッグN級品• 2018-08-28• by 日本最高級高品質ロレックス• 2018-08-24• by スーパーコピーブランドバッグN級品• 2017-12-26• by 乳首• 2014-02-06• by stunning seo guys• by awesome things!

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#2 ザックスの故郷にて2 シスネとクラウド

タークス シスネ

唐突にレーダーの警告音が鳴りひびき、シスネは目を見開いた。 クラウドの怪訝そうな顔を横目にあせって小さな画面を確認する。 だがそこにはなにも表示されていない。 しかしこの警告音は間違いない。 近くにいる。 「どうした?」 「ウェポンが来る。 すぐにここから離れないと」 走り出しながら携帯電話のボタンを押すと通話はすぐに繋がった。 「ツォン?ウェポンが狙ってきてる。 今ゴンガガエリアなの、近くに誰かいる?」 聞こえてくるのはいつも通りの冷静な声。 「すぐにヘリでレノとルードを向かわせる。 そのエリアはウェポン襲撃のない安全地域とされていたはずだが…。 なりふり構わなくなってきたか。 民間人を巻き込みそうか?」 「巻き込まないところまで逃げる」 「なんとかしのげ。 遭遇するのは何度目だ」 「3度。 個人攻撃ははじめてよ」 「おまえは運がいいな。 レノなんか2ケタ襲撃されてる」 「遠くからでもよく見えるのよ、あの真っ赤な髪」 「ルードといると反射して余計目立つんだ」 「ツォンが冗談いうのはじめて聞いたわ」 「はじめてついでに今日は倒せるかもしれんぞ。 …死ぬなよ」 「了解」 通話を終えたところで腕を引かれた。 バイクに乗ったクラウドだ。 「クラウド逃げて。 私から離れて」 「ウェポンが来るんだろう。 走って逃げても追いつかれるぞ」 「狙いは私。 タークスなの。 あなたを巻きこめないわ」 「そんな控え目なことを云うタークスなんてはじめてだな」 彼は真顔でそう云って、焦るシスネを強引にバイクの後ろに乗せる。 え、と思う間もなくそれは発進されて、振り落とされそうになったシスネは必死に運転手にすがりついた。 ちゃんと掴まってろと云った彼からゴーグルが渡される。 バイクはものすごいスピードで村を離れ荒野を駆け抜ける。 「ちょっと待って、クラウド!」 「黙ってろ。 舌噛むぞ」 「でも!」 「ウェポンの詳細」 こちらの意見を聞く気はないらしい。 舌噛むぞと云いながら説明を求めてくる彼の風になびく金髪のはるか向こう、上空にちいさな黒い影が確認できる。 シスネもそれ以上文句を云うのはやめた。 「ジェイドウェポン。 もう3年もタークスを狙ってるの」 「名はいい。 事情も後で聞く。 攻略法は?」 「通常攻撃は跳ね返される。 効果があるのは最上級攻撃魔法と召喚獣とリミット技」 「敵の攻撃」 「落雷と爆撃。 本体の他にもクラスターっていうモンスターが何体か」 「なんで3年も倒せないんだ」 「HPが莫大。 ある程度ダメージを与えると逃げられて、回復したらまた現れるの」 「ライフストリームの無駄遣いだな」 忌々しそうに云った彼は村から充分に距離のある荒野のど真ん中でバイクをとめ、ゴーグルをはずした。 ウェポンは星が生み出した存在だと知っている。 戦闘機のような形をした巨大なタークスの敵は、狂いなくこちらに狙いを定めていた。 「クラウド、マテリアは」 「どっちも原材料はライフストリームなのに、攻撃しあえるなんてヘンな話だ」 「天然物と神羅産の違いかしら。 持ってないのね。 悪いけどこうなったら巻き込まれてもらうわよ」 シスネが差し出したそれをクラウドは断った。 彼はバイクからいくつか剣を取り出しながら云う。 「本体以外はまかせる」 「だから剣だとリミットしか」 「気を抜くなよ」 「クラウド!」 間近に迫った強大な敵へ、なんのためらいもなく彼は飛んだ。 それは、ほんの一瞬の出来事だった。 ウェポンがクラスターを放つ間も与えず、巨大な敵に飛び乗った彼は合体剣を2本取り外し、その強固な体に突き刺した。 攻撃された敵は怒り、クラウドを振り落とそうと暴れながら上空へと飛翔する。 刺した剣につかまり難なく体勢を整える彼のその細くしなやかな身体が、敵を蹴り上げ高く宙を舞った。 見上げるシスネの目に映ったのは、一筋の金の光。 晴れ渡る空の下、ものすごいスピードで向かってくる敵へ身の丈ほどもある剣を振りおろした彼の、その金の髪が陽に美しく輝いていた。 光が、ウェポンを通り抜けた。 それだけだった。 気がつくと3年もの間タークスをいたぶってきた星の兵器は、すべての力を失い地響きをたて荒野に落下していた。 「………」 呆然として言葉が出ないシスネに地上に着地した彼はこっちに来るなと手で示す。 背中に剣をしまいながら、たった今ふたつに分断したウェポンを眺めるその顔は涼しげで、呼吸ひとつ乱していない。 確かに見たはずの光景が、目の前に落ちているウェポンが、信じられなかった。 何年も苦戦し幾人ものタークスが重傷を負わされた。 それをたったひとりの男が。 それも一撃で。 数年前ザックスが必死に守っていた彼が、さっきまで膝を抱えて泣いていた彼が。 電話が鳴った。 クラウドから目を離せないまま、通話ボタンを押した。 「状況は」 ツォンの声だ。 「シスネ?どうした」 「…た、…おしました」 「倒した?!」 「…クラウドが」 「クラウドがそこにいるのか?」 「こういうの…なんていうのかしら…あ、一刀両断…」 「一刀…一撃で?!」 「まっぷたつ……」 電話の向こうの男が声を失っている。 しばらくの後、にわかに信じがたいのだろう彼はとりあえず現場を写して送れと云ってきた。 向かっているレノとルードに事情を説明しろというのになんとか返事をして通話を終えた。 目の前でふたつに切り裂かれた星の兵器はゆっくりと原形を失くしていく。 それは星へ還るライフストリームとなって、立ち尽くすクラウドを覆っていく。 「クラウド」 「来るな。 危険だ」 「それはあなたもでしょ」 「…ああ、俺が一番ダメかもしれないな」 自嘲するような口調の彼はそれでもそこから動かない。 命の流れを見送るその表情は自分も連れて行ってほしいといいたげで、見ている方が切なくなった。 もう一度名を呼ぶと、彼はシスネの顔をみて苦笑し、ようやくこちらに歩きだす。 「逃げられるんならその前に、動けないようにすればいい」 「そ、んな簡単に…」 「飛び道具でちんたらやってるからだ。 俺はごめんだな、あんなの見てるだけで酔うし」 「…酔いそうだから一撃で倒したの?」 「筋金入りだから」 けろりと云われて軽くめまいがした。 「で、どうしてタークスが狙われてるんだ」 「ジルコニアエイドを倒したの。 そしたらタークス全員が星に敵だとみなされて」 「?なに」 「すべての命を滅ぼし星に還そうとする召喚獣、よ」 「今のヤツそんな個人識別できる脳ミソあったんだ。 …似たような話を最近も聞いたぞ。 これはいつの話だ。 3年前っていうと、メテオの前後か?」 「数か月前」 「常に滅亡の危機だなこの星の生物は」 彼は無表情に吐き捨てた。 「星にとって俺たちは、ただのエサだ。 こっちの意志なんか関係ない、生かすも殺すも星の気まぐれなんだ」 「…クラウド」 「…こんなこと云ってるとあいつみたいになるな」 彼の云うあいつとは、すでに名を出すことも禁忌とされるかつての英雄のことだ。 ああヤなやつを思い出した、とつぶやいた彼はバイクを操作し剣をしまう。 「次の狙いは俺かな」 「…わからないわ」 「気まぐれだからな」 かすかにヘリの音が聞こえた。 タークスの名物コンビが乗るそれが上空に見えてくる。 クラウドはバイクに跨りゴーグルを取りだした。 すぐにでも行ってしまいそうであわてて呼びとめる。 「ありがとう。 助けてくれて」 「勝手に倒しただけだ」 「命の恩人よ。 タークス全員の」 「レノだったら放っといたな」 「私だから助けてくれた?」 シスネの言葉に彼は複雑そうな顔をする。 その顔は戦っている時とは全然違う。 普段の彼は表情もしぐさも幼い。 「…また会えるかな」 しばらくの沈黙ののちの言葉は意外なものだった。 すこし笑ってしまう。 「次は泣かないでね」 「…たぶん」 バツが悪いのかそっぽを向くその様子がかわいい。 シスネ、とはじめて名を呼ばれちょっと驚く。 ザックスの母が呼んだのを覚えてくれたのだろう。 「ありがとう。 …ザックスのこと、あのとき、逃げてるとき、味方してくれて。 あいつうれしかったと思う」 「…私を泣かせないで」 「…今度、ザックスのこと話してくれる?」 子どもみたいな顔だった。 シスネはこらえきれずに吹き出してしまった。 クラウドはあきらかに拗ねた顔をする。 ほんとにかわいい、と思ってしまう。 「よろこんで」 シスネが笑顔で答えると、彼は視線をそらしたまま、それでもかすかに微笑んだ。 荒野を疾走するバイクを見送って、シスネは再度通話ボタンを押した。 送信した写真を見たツォンは脱帽していた、というかもう呆れ半分だ。 「ツォン。 クラウドの…彼の力は強大すぎる。 不安なの、うまくいえないけど」 「…第二のセフィロスになるかもしれない?」 「それは…」 ただのエサだと云い捨てた彼の言葉を思い出す。 だが彼はシスネを助けてくれた。 亡くした友人を想い涙を流していた。 「それはないわ。 彼は、やさしい人よ」 「だがひどく不安定で脆い。 前例もあるし、簡単に操られるかもしれない」 「…誰に」 「彼は例の実験でS細胞を移植されている。 それがどんなものなのか詳細はわからないが、…セフィロスの、細胞かもしれない」 「彼の身体はセフィロスとおなじだっていうの」 「確証はない。 だが」 「監視の必要はある、って?」 「今は仲間も家族もいてずいぶん落ち着いている。 時々、レノとルードがご機嫌伺いに行く程度だ」 「機嫌を損ねに行ってるの間違いでしょう。 彼は知ってるの」 「気づいてる」 「S細胞のことよ」 「それはわからない。 ソルジャーとおなじジェノバ細胞だと思っているようだが、別に間違いじゃない」 「セフィロスは…消滅したのよね」 「…わからない。 …クラウドは、心強い味方にも、最大の脅威にもなりうる」 着陸態勢に入ったヘリの風圧に髪が乱される。 もしいつか彼がかつての英雄のように狂ってしまう日が来たら。 ザックスが命をかけて守った彼と殺し合うことになるのか。 「脅威になんて、ならない」 …そんなことはさせない。 彼を見守ろう。 ザックスのかわりに。 あの時のような後悔は、もう二度としない。 彼の命はザックスの命だ。 もう二度と、あんなふうに喪わない。 監視などとわざと言葉悪く云っているが、ツォンもほかのタークスも、きっとおなじ気持ちなのだろう。 そう思った。

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