リクナビ 内定 辞退。 リクナビによる「内定辞退率」データ提供の問題点はどこにあったか 法的観点から弁護士が解説

リクナビ、内定辞退率予測サービス問題で謝罪 根本的な問題は「学生視点の欠如」

リクナビ 内定 辞退

北海道・東北• 東海・甲信越• 近畿・北陸• 中国・四国• 九州・沖縄• リクルートキャリアは5日、就活情報サイト「リクナビ」の閲覧履歴をもとに就活生の内定辞退率を予測して企業に販売するサービスが、個人情報保護法に違反していたことを明らかにした。 予測の一部にあたる7983人分について、本人の同意を得ずに販売していたという。 7月末で一時停止していた販売は、就活生の反発を踏まえ、4日付で廃止した。 廃止したサービスは「リクナビDMPフォロー」。 過去の内定辞退者がリクナビを閲覧した履歴を人工知能(AI)などで分析。 その結果を踏まえて、就職活動中の学生が内定を辞退する確率を1人ずつ5段階で推測し、当該企業に売っていた。 2018年3月以降、38社に販売し、価格は1社1年あたり400万~500万円だった。 リクルートキャリアはこれまで、政府の個人情報保護委員会から「学生への説明が不明瞭」との指摘を受け、サービスを一時停止した、と説明。 リクナビの登録時にデータ利用についての同意を学生から得ているので個人情報保護法には触れていない、としてきた。 しかし、社内での再調査の結果、「第三者に情報を提供する」との説明が、19年3月以降の一部について同意を得る際の文言になかった。 利用の同意は得られておらず、個人情報保護法に触れることが分かったという。 該当する学生7983人にはおわびのメールを送り、企業には販売した個人情報を削除するよう依頼しているという。 ただ、予測の販売対象となった学生の総数は依然、公表していない。 リクルートキャリアは文書で陳謝。 「学生のみなさまとその保護者の方々、大学関係者のみなさま、(サービスを)ご利用頂いていた企業のみなさまに心よりおわび申し上げます」とした。 記者会見は5日午後9時時点で開いていない。 (神沢和敬).

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リクナビ 内定 辞退

8月1日、就職情報サイト「リクナビ」を運営する株式会社リクルートキャリア(以下、リクルートキャリア)は、同社が提供していた「リクナビDMPフォロー」サービスにおいて、いわゆる「内定辞退率」データをクライアントである採用企業に提供していたことを公表。 その際、ユーザーである学生の個人データの扱いや同意の取得方法等が適切だったかが問われています。 8月5日には7,983名の学生からプライバシーポリシー同意取得の不備と、「リクナビDMPフォロー」の廃止についてリクルートキャリアから報告されました。 ユーザーから同意を取得する方法や個人データの扱い、また行動履歴等を分析した結果の活用方法に関して議論がなされる本事案について、STORIA法律事務所 東京オフィスの杉浦 健二弁護士に見解を伺いました。 同意取得の方法以前に、同意の対象となるプライバシーポリシーの内容の明確性が問われた事案 本事案について、ユーザーである学生からの同意取得の方法をはじめとした個人情報取り扱いの観点からは、どういった点に問題があったと考えられますか。 報道によればリクルートキャリアは「リクナビDMPフォロー」を通して、就活生の内定辞退率を個人が特定できるかたちで、同サービスを利用する企業38社に提供していたとのことでした。 リクナビ2020の には、以下のような記載がなされています。 リクナビ2020 (株式会社リクルートキャリア、2019年8月14日取得、傍線加工 BUSINESS LAWYERS編集部) この「行動履歴等(当該ログイン以前からの行動履歴等を含みます)を分析・集計」した結果こそが、今回問題となっている内定辞退率にあたると考えられます。 同プライバシーポリシーの記載では、「行動履歴等は、あらかじめユーザー本人の同意を得ることなく個人を特定できる状態で第三者に提供されることはございません」とあるものの、冒頭の傍線で示した「個人を特定したうえで、」の文言がどの文節にかかるのかがはっきりしないために、個人が特定されるかたちで内定辞退率を企業に提供するという意味なのか、個人が特定されないかたちで企業に提供するという意味なのかが不明確といえます。 個人情報保護法上、個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならないものとされています(個人情報保護法23条1項)。 リクルートキャリアの によれば、「ご同意いただいたプライバシーポリシーに基づき、リクナビサイト上での行動履歴の解析結果を取引企業に対して提供しておりました」との記載があるため、リクルートキャリア自身はユーザー個人が特定されるかたちで内定辞退率を提供することについて、同プライバシーポリシーによって同意を取得できていると判断していたようです。 その後、リクルートキャリアは で、学生7983名については同プライバシーポリシーによる形式的な同意すら得られていなかったことを発表しました。 しかし本件で問題なのは、プライバシーポリシーの内容が不明確であることで、これら7983名以外の学生についても適切な同意が得られていなかった可能性が残っているという点であると考えます。 ユーザーである学生から、個人情報の取扱いについて適切な同意を得る方法はどうあるべきだったと考えられますか。 個人データを第三者に提供するにあたってあらかじめ本人の同意を得たといえるためには、事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法によらなければならないものとされています(個人情報保護委員会「 」2-12「本人の同意」、平成28年11月(平成31年1月一部改正))。 たとえばプライバシーポリシーを公表している場合は、当該プライバシーポリシーの内容に同意する旨のボタンをクリックしてもらう方法が考えられますが、同意の前提として、プライバシーポリシーで示された取扱い方法で自分の個人情報が取り扱われる旨を理解していることが必要となります。 リクナビ2020のプライバシーポリシーの記載内容は上記のとおり明確であったとはいえず、同意ボタンをクリックする方法等をとっていたとしても、ユーザー個人が特定されるかたちで各企業に対して内定辞退率が提供されることについて本人の同意を得たといえるかどうかは疑問の残るところです。 本件では同意取得の方法以前に、同意の対象となるプライバシーポリシーの内容の明確性が問われた事案であったといえます。 今回のプライバシーポリシーの問題となった部分について、より明確な内容にしようとすれば、たとえば以下のような文案が考えられます。 また、当社は、ユーザーがログインして本サービスを利用した場合には、ユーザーが本サービスに登録した個人情報、およびcookieを使用して本サービスまたは当社と提携するサイト( 当社と提携するサイトはこのリンクをご参照ください)から取得した行動履歴等(当該ログイン以前からの行動履歴等を含みます)を分析・集計した データについて、ユーザー個人を特定できる状態で、利用企業等に対して提供する場合があります。 このデータ提供は利用企業等における採用活動補助を目的としてなされるものであり、利用企業等において選考目的で利用されることはありません。 また利用企業等に対して提供されるデータは行動履歴等の分析・集計データであり、行動履歴等そのものは、あらかじめユーザー本人の同意を得ることなく個人を特定できる状態で第三者に提供されることはありません。 この文案であれば、「行動履歴等を分析・集計したデータ」について、ユーザー個人を特定できる状態で利用企業等に提供される可能性があることは、少なくとも明確となります。 しかし、この文案によっても、行動履歴等を分析・集計した個人データに「内定辞退率」とのラベルが貼られて利用企業等に提供されることまでは想起できないため、プライバシーポリシーの明確性については問題とならなかったとしても、「内定辞退率」とのラベルが貼られて個人データが利用企業等に提供されるビジネスモデルになお批判が集まった可能性は否定できません。 「内定辞退率」を選考に利用しない条件で有償提供するという契約に無理があった リクルートキャリアは8月1日のリリースにおいて「学生の応募意思を尊重し、合否の判定には当該データを活用しないことを企業に参画同意書として確約いただいています」としています。 しかしクライアント企業が当該データを合否の判定に用いていないかは確認が難しいことから、合否判定に利用された懸念があるとする声もあります。 当該データの用途の取り決め方法については適切だったのでしょうか。 たしかにリクナビ2020のプライバシーポリシー上、企業に提供した内定辞退率(ユーザー行動履歴等の分析・集計結果)については「選考に利用されることはありません」と記載されています。 またリクルートキャリアの8月1日付プレスリリースによれば「提供された情報を合否の判定に活用しないことにご同意いただいた企業にのみ、本サービスをご提供してきました」「ご利用いただいている企業には当社から定期的に利用状況の確認をさせていただいております」とも記載されています。 しかし、たとえこれらの運用が十分に行われていたとしても、「リクナビDMPフォロー」を導入する各企業側とすれば、内定辞退率データを選考に利用したい動機があることは否めず、各企業が実際に選考に利用していなかったかどうかも不明です。 契約の取り決め方法としては、リクルートキャリアからの利用状況の確認にとどまらず、リクルートキャリアから各企業に対する立入調査条項を含めることも考えられますが、自社の顧客である各企業に対する調査権限を認めるような条項を定めることは非現実的といえます。 企業が選考に利用したいと考える価値があるデータを、選考に利用しない条件で有償で提供するという契約内容自体にそもそも無理があったといえるかもしれません。 サービスを利用するために、ユーザー本人が望まない個人情報の利用に同意せざるを得ないケースもあるのではないかと懸念されます。 「本人の同意」に加え、データ利活用時代における、個人情報を提供する側、利用する企業側双方が納得できる仕組みについてはどのように考えますか。 ユーザーが個人情報の提供を望まないのに、他のサービスに乗り換えられないために個人情報を提供せざるを得ないケースが問題視されています。 現在、GAFAをはじめとした大手IT企業による個人情報の収集方法について、公正取引委員会が、独占禁止法違反である「優越的地位の濫用」にあたるケースを示す運営指針(ガイドライン)案を策定中であると報道されています。 ユーザーに利用目的を知らせなかったり、サービス提供に必要な範囲を超えて個人情報を取得したりするようなケースについて、今後規制が進むことが予想されます。 またEUの「一般データ保護規則(GDPR)」では個人データの利用停止はいつでも行える(EU 一般データ保護規則 第7条)のに対し、日本の個人情報保護法では、個人データの利用停止は個人情報保護法違反があった場合にのみ可能とされている(個人情報保護法30条)点は問題ではないかとの声があり、2019年4月に個人情報保護委員会が公表した「 (個人情報保護委員会、平成31年4月25日)」では、個人データの利用停止制度の導入について検討がされています。 「リクナビDMPフォロー」を利用したクライアント企業が問われ得る法的責任 「リクナビDMPフォロー」は38社で「試験的な運用」がなされていたと公表されています。 今回の件について、利用していたクライアント企業に責任等は生じますか。 報道によれば各企業は、「リクナビDMPフォロー」の利用にあたって、選考結果や学歴などの応募学生の個人データをリクルートキャリアに提供していたとのことでした。 個人データを第三者に提供する場合、原則として本人の同意が必要となることは先に述べた通りですが(個人情報保護法23条1項)、各企業が、個人データの取扱いを利用目的の達成に必要な範囲でリクルートキャリアに委託していたといえる場合、個人情報保護法上は本人の同意を得る必要はないとされています(個人情報保護法23条5項1号)。 本件では、各企業がリクルートキャリアに提供した応募学生の個人データについて、たとえばリクルートキャリアが委託に基づかず自ら取得した行動履歴等の個人データを突合して内定辞退率を算出し、各企業に提供する内容の業務委託契約であったような場合は、各企業による応募学生の個人データの提供は個人情報保護法23条5項1号が定める委託の範囲を超えるものとして、各企業は個人情報保護法違反の責任を問われる可能性が生じます。 この場合、個人情報保護委員会は各企業に対して、必要に応じて報告を求めたり立入検査を行うことができるほか、実態に応じて指導・助言、勧告・命令を行うことができ(個人情報保護法40条、41条、42条)、命令に違反した者は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する旨も定められています(個人情報保護法84条)。 本件では、職業安定法への抵触の可能性もあるとされていますが、この点についてはいかがでしょうか。 本サービスのような、人事労務分野においてAIやデータを活用する手法はHRテックと呼ばれ、近年注目が集まっています。 ただしHRテックの分野では、職業安定法に抵触しないかどうかの検討が不可欠となります。 職業安定法では、採用活動を行う企業には求職者の個人情報の取扱いについての義務が課せられる旨が定められているところ(職業安定法5条の4)、厚生労働省の指針 によれば「職業紹介事業者等は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならない」とされています。 本件では、38社の企業が、個人が特定できる状態の内定辞退率という個人情報の提供を受けていたとされています。 仮に38社の企業が、リクルートキャリアから個人情報の提供を受けることについて応募学生から同意を得ていなかったとすれば、上記指針に抵触する可能性が生じます。 個人情報を扱ううえで、適法かどうかの判断は今まで以上に重要となりますね。 今回の件で、「リクナビDMPフォロー」と同様のHRテックビジネスに対する世間の目は厳しくなることが予想されます。 個人情報保護法、職業安定法等の法令を遵守することはもちろん、たとえ適法であっても、採用時における求職者情報というデリケートなデータを取り扱う以上、そのビジネスモデル自体が批判を受けることも想定されますので、これまで以上に慎重な検討が求められるものと考えます。 特に個人データの第三者提供を行う場合は、不明確なプライバシーポリシーを提示して形式的な同意を得ておくだけでは不十分であり、ユーザーの個人データが第三者提供される旨が明確にわかるようまず利用目的の欄に記載したうえで、提供を予定する個人データの項目もできる限り具体的に記載することが求められるでしょう。 さらに個人データの第三者提供に同意することで、ユーザーにとってどのようなメリットが生じるのか(たとえば当該サービスの無償提供や、より充実したサービスが提供可能となること等)まで触れられていれば望ましいものといえます。 明確でわかりやすい内容のプライバシーポリシーを提示し、ユーザーも納得したうえで真に同意していると評価できる個人情報の取扱いを行うことが、結果的にユーザーや世間からも評価されるサービスの実現につながるのではないかと考えます。

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リクナビ、内定辞退予測サービス廃止 情報保護法に違反:朝日新聞デジタル

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プラットフォームが収集した個人データは、誰のために使われるのか。 そもそも「内定辞退率」という学生の不利になりかねない情報を、選考企業に販売するというサービスそのものに、学生の間では「怖い」「裏切られた」との批判や困惑が飛び交っている。 さらに、7983人分のデータについて本人の同意を得ずに外部提供したことが判明。 これは個人情報保護法に違反する恐れがある。 こうした事態を受けて、リクルートキャリアは8月4日にサービスを廃止。 「学生の皆さまの心情に対する認識欠如こそが、根本的な課題である」として、同社は陳謝する事態となった。 約80万人もの学生が登録し、日本の就活の一時代を築いてきたリクナビの個人情報を巡る問題は、データ活用が大きな存在感を持ちつつある現代社会に、そのリスクとモラルの在り方を突きつけている。 「利用者が不利になるよう働きかけて儲けるなんて」 リクナビは国内最大級の就活プラットフォームだ。 撮影:今村拓馬 「今回の件はどう見ても倫理的にアウト」 「利用者が不利になるよう働きかけて儲けるって、とんでもない裏切り行為」 8月初頭、リクルートキャリアの内定辞退率データの販売を巡り、Twitterが紛糾した。 発端は日本経済新聞が8月1日付で、リクルートキャリアが就活生の「内定辞退率」を本人の同意なしで予測し、38社に有償で提供していたと報じたこと。 問題となったサービスは2018年3月にスタートした。 例えば、前年にA社を辞退した登録学生の閲覧ページの行動履歴から、人工知能 AI がアルゴリズムを抽出。 現在A社の選考を受けている就活生について、そのアルゴリズムを適用することで「内定辞退する確率」を、5段階評価で算出していた。 この5段階評価を、就活生の名前に紐づけて、企業に販売していたという。 リクナビ利用企業3万社のうち38社のみを対象にしたテスト段階だったといい、販売価格は、他サービスと合わせて1シーズンで1社あたり400万〜500万円だった。 当初は「サービス一時休止」にとどまっていたが…… リクルートキャリアは当初、Business Insider Japanの取材に対し「個人情報保護法違反には当たらないが、(学生への)説明が不明瞭だった」と回答。 本人の同意取得について改善の余地があるため、サービスを「一時休止する」としていた。 ところが、冒頭の通り、ネット上での反響は同社の想定を上回ったようだ。 個人情報の外部への提供にあたり、法で定める本人の同意取得のあいまいさ• 就活生の内定辞退率の予測を企業に売るというサービスそのもの この2点において、1もさることながら2のサービス内容にも強い批判が巻き起こった。 TwitterなどSNSでの拡散のみならず、同社にも直接、不信感や抗議を訴えるメール、学生や大学関係者からの訴えが相次いで寄せられたという。 学生からは「不安、怖い、裏切られた」の声 出典:リクナビのホームページ 週をまたいで8月5日、事態は一転。 リクルートキャリアは「サービス廃止」を発表した。 理由は大きく2つだ。 まず個人情報の第三者(この場合、企業)への提供にあたり、7983人分の同意取得ができていなかったことが、新たに社内調査で判明したという。 人的なミスというが、これは個人情報保護法に違反する恐れがある。 当初の、同意取得の際に「不明瞭な点があった」というレベルの話ではなくなる。 そして、サービスそのものの在り方に「問題があった」と結論づけた。 リクルートキャリアは学生からの「不安」「怖い」「裏切られた」といった反応を受けて「 学生の皆さまの心情に対する配慮不足こそが根本的な課題であると強く認識するに至った」と。 同社は「内定辞退率はあくまで、就活生のつなぎ止めのために使うもので、企業とは合否判断には使わない約束だった」(担当者)と話しているが、約束自体に強制力はない。 まさに選考中の企業へ、学生本人も知らされない「内定辞退率」が伝わることを想像すると、リクナビそのものへの不信感が募るのも無理はない。 こうしてリクルートキャリアは「 本来、保護されるべき立場の学生に、不安を与えてしまった。 学生の視点に寄り添うことができていなかった」(担当者)として、学生、保護者、大学関係者に「心よりお詫び」をするという顛末となった。 売り手市場で採用に苦戦する企業 就活市場は近年、学生の売り手市場となっている。 内定を出しても採用に結びつかないことは、企業の悩みのタネとなっている。 撮影:今村拓馬 一連の背景には、就活市場における「採用難」という、企業にとって厳しい現実がある。 少子高齢化と好景気に伴う採用難は、とりわけ新卒市場で顕著で、内定を出しても断られることは、多くの企業で日常茶飯事だ。 1シーズン数百万円でリクナビを利用しても「採用実績に対しコスパが悪い。 リクナビの利用そのものを見直す方針」(外資系大手IT企業の人事担当者)との声も近年、聞かれていた。 企業からオファーが学生に飛ぶダイレクトリクルーティングや、社員の人脈を使ったリファラル採用、口コミサイトの活況など、就活支援サービスの多様化も進む。 リクルートキャリアが「内定辞退率の予測」といった、完全に「企業向き」で、学生にとって不利になりかねないデータ販売に至ったのも、こうした市場の変化と無関係ではないだろう。 人材業界ではビッグデータ活用がトレンド データの活用は、多くの企業にとってキーファクターとなっている。 撮影:今村拓馬 AIを使ったプロファイリングとデータ活用は、人材業界でも大きなトレンドとなっている。 それだけに、リクルートの問題は各社が神経を尖らせている。 ある就活支援サービスの関係者は、リクルートの問題を受けて「うちにも企業や大学から問い合わせが相次いでいる」と明かす。 やはり、AIによる行動データを活用する、新卒採用支援のベンチャーは「弊社では内定辞退率の予測などは行なっていません。 大前提として個人情報は個人が保有する資産であり、大切に扱うべきという認識」と、自社のスタンスを説明する。 別の人材系ベンチャーは「個人データの取り扱いは相当センシティブなところで、ユーザーの同意にはものすごく気を使っている。 ただ、リクルートの件が他人事ではない会社は他にもあるのでは」と、漏らす。 リクルート問題はデータ利用の氷山の一角 「そもそも個人情報保護法が、何を守るための法律なのかが意識されていないことが問題です。 利活用のメリットに配慮しつつも、 個人の権利利益を守ることが法律の最重要の目的。 今回であれば学生の利益であり、データを買ってくれる企業側の利益ではない。 リクルートは客である企業側の視点に立っており、もっとも基本的なことが抜けている」 「世界的な個人データの活用をめぐるルールづくりの潮流の中で、日本の議論は遅れている」と指摘する、慶應義塾大学法科大学院教授の山本龍彦氏。 撮影:竹井俊晴 憲法と情報法が専門の、慶應義塾大学法科大学院教授の山本龍彦氏は、内定辞退率データをめぐるリクルートの問題について、そう投げかける。 また、ウェブ閲覧履歴データから、AIを使って個人の特徴や行動を予測・評価する情報処理である、プロファイリングに対するルールづくりの議論が「日本では進んでいない」とも山本氏は指摘。 「内定辞退率のような個人の不利益につながりかねないセンシティブな情報の取り扱いには、特に配慮が必要で、企業には高い倫理性が求められる。 どんなデータが何に使われているかを開示する 透明性の確保と、情報の正確性に対して個人が関与できるような仕組みづくりが、世界的な流れとしてあるが、日本の動きは遅れている」(山本氏) 今回の問題は、ビッグデータの扱いがカギを握る人事領域ではまさに「氷山の一角」と、山本氏は見る。 ヤフーやLINEといった大手企業がデータを用いた信用スコアリング事業に乗り出したのも記憶に新しい。 想像もつかないところで、私たちの個人データが想像もつかない使い方をされるリスクは高まる一方だ。 「この件をきっかけに、個人情報保護法の改正も視野に入れたプロファイリングに対する新たなルールづくりが、早急に求められている」と、山本氏は警鐘を鳴らしている。 (文・滝川麻衣子).

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