わが 母 なる ロージー。 『わが母なるロージー』の感想、レビュー(efさんの書評)【本が好き!】

わが母なるロージー ピエール・ルメートル(著) 感想 あらすじ 書評 要約 │ 南大阪に住むおじさんのブログ

わが 母 なる ロージー

パリ市街で爆発が起きました。 多くの市民が巻き添えになりましたが、奇蹟的に死者は出ませんでした。 そして程なくして……。 ジャンと名乗る若い男が、「自分が不発弾を仕掛けた」と出頭してきたのです。 ジャンは、テレビで見たというカミーユを指名し、カミーユにしか話をしないと言うのです。 さっそく呼び出されたカミーユがジャンから話を聞いたところ、ジャンが言うには全部で7発の不発弾を仕掛け、毎日一発ずつ爆発するようにセットしてあるというのです。 不発弾を仕掛けた場所が知りたければ要求を呑めと。 不発弾を仕掛ける際に使った道具などをどこで購入したか等、証拠になりそうなことを次々と話していきます。 また、今回の爆発現場でジャンが不審な行動を取っていたという目撃者も現れます。 これは本星か。 ジャンの要求とは、現在殺人事件を犯したということで逮捕、勾留されている母親のロージーと自分を釈放し、それぞれに偽造パスポートと500万ユーロを用意し、自分と母親をオーストラリアに移民させろというものでした。 ロージーは、ジャンの恋人を自動車でひき殺したため、衝動的殺人ということで裁判を待つ身だったのです。 何故そんな母親を釈放しろと? 捜査を進めてみると、ジャンとロージーはいつも口論をしていたということで、決して仲の良い親子というわけでもなさそうなのです。 ジャンの父親は誰なのか分かりません。 どうも、ロージーはだらしない女性のようです。 ジャンにその辺りを聞いても詳しい動機を語ろうとはしません。 あと6発の不発弾が仕掛けられているというのはハッタリじゃないのか? 当然そういう疑いもあるのですが、もし本当だとしたら、今度は死者が出てもおかしくない。 遂にジャンは、対テロリスト専門の捜査部門にゆだねられることになりました。 拷問か……。 どうやら、フランスではテロリストに対しては相当苛烈なことが行われているようです。 しかし、ジャンは、ボロボロにされながらも不発弾を埋めた場所を詳しく話そうとしないのです。 次の爆発は日が変わった午前9時、場所は幼稚園と言うだけで。 幼稚園だって?! 該当しそうな幼稚園を探しますが、まるで雲をつかむような話であり時間だけが過ぎていきます。 政府もこんな状況をマスコミに知られることを恐れ、公表できずにいます。 もちろん、脅しに屈してジャンの要求を呑むなど論外です。 という、非常に緊迫感の溢れた作品になっています。 まるで映画を見ているようなスリリングでスピーティーな印象すら受けるのです。 中編ということで、カミーユ・ファンにとっては「もうちょっと書いて!」という気持ちにもさせられるのですが、何よりも三部作で終結したと思っていたところに、再びカミーユに会えたというのはファンにとっては嬉しい限りです。 出来の方もなかなかで、ちょっとラストがどうか?、そういう動機でこんなことをするか?という声もあるかもしれませんが、私は十分に堪能させていただきました。 でも、カミーユものはもう書かれないのでしょうか? 何か書いて欲しいと思うのは私だけではないと思うのですが……。

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【感想・ネタバレ】わが母なるロージーのレビュー

わが 母 なる ロージー

わが母なるロージー の主要登場人物 カミーユ・ヴェンルーベル(かみーゆ・ヴぇんるーべる) パリ警視庁の警部。 本作の主人公。 ジャン・ガニエル(じゃん・がにえる) 爆弾魔。 警察に対して前代未聞の取引を持ち掛ける。 ロージー・ガニエル(ろーじー・がにえる) ジャンの母親。 勾留中。 わが母なるロージー の簡単なあらすじ 本作は、カミーユ・ヴェンルーベル警部3部作の番外編となる作品です。 3部作は『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』『傷だらけのカミーユ』からなっており、本書は時系列的には2作目と3作目の間で起きた話です。 『その女アレックス』は、文学賞で10冠を達成してこのシリーズは大きな注目を集めました。 完結済みでしたが、もう一度だけカミーユ警部が舞い戻ってきたことで、話題となった作品です。 多数の怪我人が出たものの、奇跡的に死者はいませんでした。 政府は情報収集にあたり、警察にも緊張が走ります。 現場を訪れた爆弾処理班は、第一次世界大戦で使用された140ミリ砲弾に手を加えたものだと突き止めます。 この砲弾は不発弾として大量にフランスの地中に眠っていて、その気になれば入手するのは驚くほど簡単なのです。 一方、カミーユ警部は車のラジオで爆破事件のことを聞きながらも、彼女とのデートに向かっていました。 事件を聞きながらもデートのことで頭がいっぱいのカミーユ警部でしたが、部下から連絡を受けて事件の中心に引きずり込まれます。 爆弾事件の犯人が警察署に自首しに来て、カミーユ警部と話をしたいと要求したのです。 彼はデートを泣く泣くキャンセルして、すぐに警察署に駆けつけました。 そこには、ジャン・ガニエルがいて、他にも爆弾は6つあり、1日に1つずつ爆発するようにセットしたというのです。 ジャンの要求 ジャンは、爆弾を仕掛けた場所を教えてもらいたかったら、こちらの要求を飲めとカミーユ警部に持ちかけます。 その要求とは、彼と彼の母親の釈放、そして逃走資金の用意でした。 ジャンの母親ロージーは、8ヵ月前にジャンの恋人を故意に車ではねた容疑として警察に勾留されていたのです。 ジャンは、その母親を釈放させ、二人でオーストラリアに逃げる計画を立てているという話をカミーユ警部にします。 この話にカミーユは戸惑います。 自分の恋人の殺害した母を釈放させるなんておかしな話で、ジャンの考えが理解できなかったのです。 また、ジャンのいう爆弾が実在するかどうかも不明で、おいそれと要求を飲むわけにもいきません。 ジャンはテロ対策班から苛烈な尋問を受けることになりましたが、その中で爆弾は幼稚園に仕掛け、9時に爆発することだけを話します。 カミーユはジャンと母親を面会させて、どの幼稚園がターゲットなのか聞きだそうといます。 ジャンはパリ以外の幼稚園に仕掛けたと言いますが、無情にも時間は9時を回ります。 しかし、爆弾は爆発しませんでした。 しかし、同日の昼に、地下の共同溝を点検していた職員が爆弾を見つけます。 これでジャンの話の信ぴょう性が高まり、夜の21時に幼稚園で爆発が起きたことで彼の話ははったりでないと警察は理解します。 爆弾のことで警察が右往左往するなか、カミーユ警部は、ジャンとロージーの関係が気になっていました。 ロージーと面会したときのジャンは、明らかに心ここにあらずという感じで、自分が助け出そうとしている母親を前にしているとは思えないようすでした。 逆に、ロージーは息子が自分を見捨ていないと感激していました。 2人の反応に違和感を覚えたカミーユ警部は、ロージーがジャンの恋人を轢き殺した事件を調べ、さらにジャンの過去を深く調べていきました。 その結果、ジャンが何度も親元を離れようとしたときに、彼と親しかった人が死に、ジャンは家に留まることになった過去が明らかになりました。 最後の爆弾 ジャンの周りで起きた死には、いつもロージーの影がありました。 ロージーは息子に異常な執着があり、自分の手から息子を奪い去ろうとする人間を何度も殺害していたのです。 そしてジャンのほうも、ロージーに依存するようになったと推測します。 爆弾事件のほうでもカミーユは意外な事実を突き止めました。 ジャンは誰も死なないように爆弾を仕掛けたことを見破ったのです。 幼稚園の爆弾は、9時をわざと21時に間違えることで誰もいない時間帯に爆発するように仕組んで、共同溝の爆弾は点検日を事前にチェックして発見されるようにしておいたのです。 しかし、このまま爆発が続けば、いつかは何かの間違いで死者がでる危険がありました。 そこでカミーユは首相を説得して、ガニエル親子を釈放させたのです。 しかし、親子をオーストラリアに行かせるつもりはありませんでした。 万全の態勢を敷き、飛行機が飛び立つとすぐに空港に戻ってくるように手配しました。 釈放されたガニエル親子ですが、ジャンはタクシーの運転手に空港とは違う道を告げます。 たどり着いたのはジャンがよく行く公園でした。 そこでジャンは母親をおろして、二人で公園内に向かいます。 そのようすを遠くで見ていたカミーユは、ジャンから「もう爆弾はない」というメールを受け取ります。 その直後、公園で爆発が起こり、ガニエル親子は爆炎の中に消えたのです。 わが母なるロージー を読んだ読書感想 カミーユ警部シリーズは『その女アレックス』で一躍有名になりました。 作者のルメートル氏は、シリーズを3作目で完結させたので、この番外編はファンにとってうれしい一冊ではないでしょうか。 本書は場面転換が多彩で、非常にスピード感があるのが特徴です。 ジャンがこのような計画を立て、母親と一緒に死ぬことを選んだのは、カミーユが指摘したとおり、母親に依存するように育てられたからではないでしょうか。 母親を憎みながらも同時に愛さざるを得ないジャンは、本作の一番の被害者だったのではと思います。

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【今週はこれを読め! ミステリー編】夏の終わりに読みたい二つの中編『エレベーター』『わが母なるロージー』

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わが母なるロージー の主要登場人物 カミーユ・ヴェンルーベル(かみーゆ・ヴぇんるーべる) パリ警視庁の警部。 本作の主人公。 ジャン・ガニエル(じゃん・がにえる) 爆弾魔。 警察に対して前代未聞の取引を持ち掛ける。 ロージー・ガニエル(ろーじー・がにえる) ジャンの母親。 勾留中。 わが母なるロージー の簡単なあらすじ 本作は、カミーユ・ヴェンルーベル警部3部作の番外編となる作品です。 3部作は『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』『傷だらけのカミーユ』からなっており、本書は時系列的には2作目と3作目の間で起きた話です。 『その女アレックス』は、文学賞で10冠を達成してこのシリーズは大きな注目を集めました。 完結済みでしたが、もう一度だけカミーユ警部が舞い戻ってきたことで、話題となった作品です。 多数の怪我人が出たものの、奇跡的に死者はいませんでした。 政府は情報収集にあたり、警察にも緊張が走ります。 現場を訪れた爆弾処理班は、第一次世界大戦で使用された140ミリ砲弾に手を加えたものだと突き止めます。 この砲弾は不発弾として大量にフランスの地中に眠っていて、その気になれば入手するのは驚くほど簡単なのです。 一方、カミーユ警部は車のラジオで爆破事件のことを聞きながらも、彼女とのデートに向かっていました。 事件を聞きながらもデートのことで頭がいっぱいのカミーユ警部でしたが、部下から連絡を受けて事件の中心に引きずり込まれます。 爆弾事件の犯人が警察署に自首しに来て、カミーユ警部と話をしたいと要求したのです。 彼はデートを泣く泣くキャンセルして、すぐに警察署に駆けつけました。 そこには、ジャン・ガニエルがいて、他にも爆弾は6つあり、1日に1つずつ爆発するようにセットしたというのです。 ジャンの要求 ジャンは、爆弾を仕掛けた場所を教えてもらいたかったら、こちらの要求を飲めとカミーユ警部に持ちかけます。 その要求とは、彼と彼の母親の釈放、そして逃走資金の用意でした。 ジャンの母親ロージーは、8ヵ月前にジャンの恋人を故意に車ではねた容疑として警察に勾留されていたのです。 ジャンは、その母親を釈放させ、二人でオーストラリアに逃げる計画を立てているという話をカミーユ警部にします。 この話にカミーユは戸惑います。 自分の恋人の殺害した母を釈放させるなんておかしな話で、ジャンの考えが理解できなかったのです。 また、ジャンのいう爆弾が実在するかどうかも不明で、おいそれと要求を飲むわけにもいきません。 ジャンはテロ対策班から苛烈な尋問を受けることになりましたが、その中で爆弾は幼稚園に仕掛け、9時に爆発することだけを話します。 カミーユはジャンと母親を面会させて、どの幼稚園がターゲットなのか聞きだそうといます。 ジャンはパリ以外の幼稚園に仕掛けたと言いますが、無情にも時間は9時を回ります。 しかし、爆弾は爆発しませんでした。 しかし、同日の昼に、地下の共同溝を点検していた職員が爆弾を見つけます。 これでジャンの話の信ぴょう性が高まり、夜の21時に幼稚園で爆発が起きたことで彼の話ははったりでないと警察は理解します。 爆弾のことで警察が右往左往するなか、カミーユ警部は、ジャンとロージーの関係が気になっていました。 ロージーと面会したときのジャンは、明らかに心ここにあらずという感じで、自分が助け出そうとしている母親を前にしているとは思えないようすでした。 逆に、ロージーは息子が自分を見捨ていないと感激していました。 2人の反応に違和感を覚えたカミーユ警部は、ロージーがジャンの恋人を轢き殺した事件を調べ、さらにジャンの過去を深く調べていきました。 その結果、ジャンが何度も親元を離れようとしたときに、彼と親しかった人が死に、ジャンは家に留まることになった過去が明らかになりました。 最後の爆弾 ジャンの周りで起きた死には、いつもロージーの影がありました。 ロージーは息子に異常な執着があり、自分の手から息子を奪い去ろうとする人間を何度も殺害していたのです。 そしてジャンのほうも、ロージーに依存するようになったと推測します。 爆弾事件のほうでもカミーユは意外な事実を突き止めました。 ジャンは誰も死なないように爆弾を仕掛けたことを見破ったのです。 幼稚園の爆弾は、9時をわざと21時に間違えることで誰もいない時間帯に爆発するように仕組んで、共同溝の爆弾は点検日を事前にチェックして発見されるようにしておいたのです。 しかし、このまま爆発が続けば、いつかは何かの間違いで死者がでる危険がありました。 そこでカミーユは首相を説得して、ガニエル親子を釈放させたのです。 しかし、親子をオーストラリアに行かせるつもりはありませんでした。 万全の態勢を敷き、飛行機が飛び立つとすぐに空港に戻ってくるように手配しました。 釈放されたガニエル親子ですが、ジャンはタクシーの運転手に空港とは違う道を告げます。 たどり着いたのはジャンがよく行く公園でした。 そこでジャンは母親をおろして、二人で公園内に向かいます。 そのようすを遠くで見ていたカミーユは、ジャンから「もう爆弾はない」というメールを受け取ります。 その直後、公園で爆発が起こり、ガニエル親子は爆炎の中に消えたのです。 わが母なるロージー を読んだ読書感想 カミーユ警部シリーズは『その女アレックス』で一躍有名になりました。 作者のルメートル氏は、シリーズを3作目で完結させたので、この番外編はファンにとってうれしい一冊ではないでしょうか。 本書は場面転換が多彩で、非常にスピード感があるのが特徴です。 ジャンがこのような計画を立て、母親と一緒に死ぬことを選んだのは、カミーユが指摘したとおり、母親に依存するように育てられたからではないでしょうか。 母親を憎みながらも同時に愛さざるを得ないジャンは、本作の一番の被害者だったのではと思います。

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